豊富な栄養素を秘め、世界中で愛されるアボカド。その魅力は何といっても、ビタミンやミネラルが豊富に含まれていることではないでしょうか。特に、ビタミンEや不飽和脂肪酸は心身の健康を支えます。また、季節を問わず手に入るのも魅力の一つと言えるでしょう。
今回は、そんなアボカドの旬や栄養素について詳しくお伝えしていきます。
また、旬のお野菜としての楽しみ方や上手な選び方もご紹介します。
アボカドとはなにか
アボカドは、南アメリカが原産地とされ、トロピカルな気候を好む植物です。厚い皮に覆われた肉厚な果実は、独特のクリーミーな食感と風味が特長。緑色の皮と果肉、中心に大きな種があることも、見た目で覚えやすいでしょう。
種類によっては、皮の色や果肉の色、果実の大きさなどが異なります。ハス種は皮が黒く、表面に小さな凹凸があります。フエルテ種は皮が緑色で、表面は滑らか。どちらも美味しく、料理に活用できます。
アボカドは樹高が10メートル以上になる大きな樹で、育てるのには相当なスペースと手間が必要。だからこそ、手に入れたときの喜びはひとしおです。
アボカドの成長過程と選び方
アボカドの成長はじっくりと時間をかけて進行します。花が咲いてから果実が収穫できるまでには、1年以上が経過します。そのため、アボカドの収穫は一年中可能で、旬を問わず楽しむことができます。
旬のアボカドを選ぶコツは、果肉がほんのりと柔らかいこと。ただし、あまりにも柔らかすぎると熟し過ぎている可能性があるので注意が必要です。また、皮の色と形状、サイズも重要なポイント。ハス種の場合、皮が黒く、表面に凹凸があるものが良品とされます。一方、フエルテ種は、皮が緑色で表面が滑らかなものを選びましょう。
アボカドを選ぶときは、これらのポイントを覚えておくと、新鮮で美味しいアボカドを見つけることができます。
アボカド選びのポイント
アボカドを選ぶときは、色と硬さの二つがポイントです。
まず、色から見ていきましょう。
新鮮なアボカドは、一般的に明るい緑色をしています。もっと具体的には、表皮がブライトグリーンからダークグリーンに移行している段階が最適です。緑が黒っぽくなり始めた場合、それはアボカドが熟しすぎ、中身がブラウンに変色し始めている可能性があります。逆に、色が青白いということは、まだ完全に熟していない状態を示しています。こうしたアボカドは、一般的に食べるにはあまりに硬く、まだ時間を必要とします。
次に、硬さについて解説します。
これは手でアボカドを軽く握り、指で押してみることで判断します。食べ頃のアボカドは、手で軽く押したときに、程よくしなります。指の力でちょうど皮が凹む程度の硬さが理想的です。逆に、指がすっと入るほど柔らかいものは、熟しすぎで、味が落ちている可能性があります。さらに、硬すぎて全くしならないものは、まだ熟しておらず、食べ頃には時間が必要です。
このように、色と硬さの観察を通じて、アボカドの熟度を見極めることができます。
アボカドの旬の時期
アボカドは亜熱帯や熱帯の気候を好む植物で、一年中収穫が可能ですが、それぞれの地域や国によって収穫のピークが異なります。
日本にとってアボカドの主要な供給源となっている国はメキシコだと言われています。
メキシコでは、一年のうちでも特に10月から翌年の3月までが収穫のピークとなります。そのため、この期間には新鮮なアボカドが大量に流通し、日本でも容易に手に入れることができるのです。
また、この期間に出回るアボカドは収穫されてからの日数が少なく、新鮮な状態で消費者の手元に届くため、品質も高いと言えます。
さらに、この時期はアボカドの供給量が増えるため、価格も安定します。大量に流通することで供給過剰となり、結果として価格が下がることがあります。そのため、購入する際の負担も少なくなるというメリットがあります。
これらの理由から、メキシコ産のアボカドが多く出回る10月から翌年の3月までが、新鮮で美味しい旬のアボカドを手に入れられる最適な時期と言えるでしょう。
アボカドに含まれる栄養とは
アボカドには素晴らしい栄養価が豊富に含まれていることを知っていますか?
アボカドの驚くべき栄養価について、一つ一つ掘り下げてみていきましょう。
- 不飽和脂肪酸
まず、「不飽和脂肪酸」について。アボカドに含まれる主な脂肪はオレイン酸という一種のモノエン酸です。これはオリーブオイルにも含まれており、心血管疾患の予防に寄与すると広く認識されています。オレイン酸は「良い脂肪」とされ、血液中の悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを増やす働きがあるとされています。
- ビタミンK
次に、「ビタミンK」について。ビタミンKは、血液の凝固機能や骨の健康を維持するために重要な栄養素です。アボカドはこのビタミンKを豊富に含む食品として知られています。一個のアボカドには成人の1日のビタミンK推奨摂取量のおよそ半分が含まれています。
- ビタミンE
また、「ビタミンE」について。ビタミンEは抗酸化物質で、自由基と呼ばれる体内の有害な化合物を中和し、細胞を守る役割を果たします。アボカドにはこのビタミンEが豊富に含まれており、抗酸化作用を高める助けになります。
- ビタミンC
そして「ビタミンC」について。ビタミンCは、強力な抗酸化作用を持ち、免疫系の強化、コラーゲンの合成を助けるなど、多岐にわたる重要な機能を果たします。美しい肌を保つためにも必要な栄養素で、アボカドにも含まれています。
- 食物繊維
最後に「食物繊維」について。食物繊維は腸の健康を維持し、満足感を得るために重要です。アボカドは食物繊維が豊富で、お腹がいっぱいになるためダイエットにも効果的です。
このように、アボカドは栄養価が高く、さまざまな健康効果が期待できる食品です。
アボカドの扱い方
アボカドの扱い方は基本的にシンプルですが、その一方でいくつかの要点を押さえておくと、より安全かつ効率的に扱うことができます。
- アボカドの切り方
アボカドは縦半分に切ることが一般的です。これは、種が中央に位置しているためです。まず、アボカドの上から下へ向かって、ナイフを種に当てるようにゆっくりとスライスします。その後、アボカドを手で持ち、そのまま180度回転させながらナイフを動かすと、種の周りでアボカドが半分に分かれます。
- 種の取り方
種はアボカドの中央に深く埋まっています。ナイフの刃を使って種を取り除く方法が一般的ですが、これは少し注意が必要です。ナイフの刃先を種に対して軽く叩きつけ、刃が種に刺さるようにします。その後、ナイフを捻ると、種がアボカドから抜け出てくるはずです。このとき、種に力を入れすぎず、手を切らないように注意しましょう。
- 果肉の取り方
種を抜いたら、アボカドの果肉部分を縦に3〜4本、横にも同じくらい切り込みを入れます。この切り込みは皮まで達しない程度に浅く行います。これにより果肉が小さな立方体の形になります。これを「ダイシング」と呼びます。最後にスプーンを用いて果肉を皮から取り出します。皮と果肉の間にスプーンを差し込み、皮に沿ってスプーンを滑らせるようにして果肉を取り出します。
これらの手順を踏むことで、アボカドの美味しい果肉を手早く安全に取り出すことができます。これによりアボカドは、サラダやサンドイッチ、トーストなど様々な料理に使用することができます。
アボカドの保存方法
アボカドの保存方法は、熟度によって異なります。
- 未熟なアボカドを保存する場合
未熟なアボカドは常温で保存します。これはアボカドが熟成を進めるために一定の温度が必要だからです。また、未熟なアボカドを早く熟させたいときは、リンゴと一緒にビニール袋に入れて保存します。リンゴが出すエチレンガスは、アボカドの熟成を早める効果があります。
- 熟したアボカドを保存する場合
熟したアボカドは冷蔵庫で保存するのがベストです。これは、熟成したアボカドがさらに熟過ぎてしまうのを防ぐためです。冷蔵庫の低温は、アボカドの熟成を遅らせる効果があります。
- 切った後のアボカドを保存する場合
アボカドは切ってしまうと、空気に触れることで酸化しやすくなり、茶色く変色します。これはアボカドに含まれる酵素が空気中の酸素と反応し、メラニンという物質を生成するためです。変色を防ぐためにも、酸化を遅らせるレモン汁を切った部分に塗ってから保存すると良いでしょう。
このようにポイントを押さえながらアボカドを保存すれば、鮮度を保ちつつ最高の状態で楽しむことができます。
アボカドの賞味期限
アボカドが熟した状態で冷蔵庫に入れた場合、その賞味期限は約2-3日が目安とされています。あくまでもこれは理想的な状況で、果肉が全く変色していない場合の話です。
冷蔵庫で保存することにより、アボカドの熟成を一時的に停止させることができます。
しかし、アボカドの風味や質感は時間が経つにつれて落ちてしまいます。
特に、果肉が酸化して茶色くなると風味が損なわれ、食感も悪くなります。
それを防ぐためにも、熟したアボカドはなるべく早めに食べることをおすすめします。
また、一度切ったアボカドは酸化を防ぐためにレモン汁を塗ったり、ラップで包んだりしてから冷蔵庫に保存すると、なるべく鮮度を保つことができます。
しかしながら、切ったアボカドは鮮度が落ちやすいため、できるだけその日のうちに食べきるようにしましょう。
アボカドを使ったおすすめレシピ
アボカドの持つクリーミーな食感と豊かな風味を活かした、おすすめの簡単レシピを2つご紹介します。
レシピ①アボカドとツナのサラダ
まず、一つ目は「アボカドとツナのサラダ」です。
材料
アボカド1個、ツナ缶1缶、マヨネーズ適量、レモン汁少々。
作り方
1.アボカドは縦半分に切り、種を取ります。
2.種を取り除いたら次は果肉の取り出しです。スプーンを使って果肉を皮からゆっくりと剥がすようにします。この時、果肉を傷つけないようにゆっくりと作業を進めることがポイントです。取り出した果肉は一口大にカットします。
3. 次に、ボウルにツナ缶とカットしたアボカドを入れます。ツナ缶の油は多すぎると全体が油っこくなってしまうので、適量に調節すると良いでしょう。
4.ここにマヨネーズとレモン汁を加えてよく混ぜます。マヨネーズはアボカドのクリーミーさを引き立て、レモン汁は酸味を加えて全体の味を引き締める役割があります。
5. 混ぜ合わせたら完成です。
アボカドのクリーミーさとツナの旨味が絶妙にマッチし、手軽にできるのにとてもおいしい一品です。
レシピ②アボカドトースト
二つ目は、アボカドを主役にした「アボカドトースト」です。
材料
アボカド1個、食パン2枚、塩、こしょう、レモン汁少々、オリーブオイル少々。
食パンは、ご自身がお好みのものを選んでいただいて構いません。全粒粉のパンを選べば、食物繊維も一緒に摂取できますし、白パンであれば、さっくりとした食感が楽しめます。
作り方
- 食パンをトースターで焼きます。焼き加減はお好みに応じて調整してください。
- 次に、アボカドの皮を剥き、種を取り除き、果肉をボウルに移します。ここで、アボカドは熟していて柔らかいものを選ぶことがポイントです。硬いアボカドでは、フォークで潰すのが難しくなりますし、風味も十分に発揮されません。
- 果肉をボウルに移したら、フォークを使って果肉を潰しながら、塩、こしょう、レモン汁を加えて混ぜます。これにより、アボカドの風味を引き立てつつ、味にアクセントを加えることができます。レモン汁はアボカドが茶色く変色するのを防ぐ役割も果たします。
- 最後に、トーストした食パンの上にアボカドを塗り広げ、オリーブオイルを少々かけて完成です。オリーブオイルは、アボカドの風味をより一層引き立て、潤いを加えます。
シンプルながらも、アボカドの風味を堪能できる一品です。朝食やランチ、さらには軽いディナーとしてもおすすめです。
最後に
アボカドはそのまま食べても、サラダやスムージーの具材としても、その豊富な栄養が活かされます。
料理の応用範囲が広く、さらに美味しいアボカドは、日常の食生活に取り入れるのに最適です。色々なレシピを試すことで、アボカドの食感や風味の変化を楽しむこともできます。
今回ご紹介した情報を活用し、アボカドのパワーを最大限に引き出しましょう。